ブラジル人とサッカー、その4
このシリーズ前回(3)ではテーマを外れて “2014 FIFA World Cup”、1次
リーグの日本の戦いぶりを書いたが、今日はまたテーマ本題(1) (2)に
戻って、サッカーとブラジル人の事を書いてみよう。
その前に、、、
以前も書いた様に、私は1977年~1990年の13年間ブラジルに滞在、
その殆どの期間をサンパウロで過ごした。
当時から特にサッカーファン、って訳ではなかったが、ブラジルに居る間、
否が応でも周囲でサッカーの話題が多く、現地のテレビでは連日の
サッカー中継でウンザリする程だった。
そこで必然的にサッカーの事を考えるようになって、ブラジルを出て
8年後の1998頃に最下段の関連記事欄にあるコラム 『日本のサッカ-界』
、を書いて、後日これを2001年から始めた拙HP(ホームページ)に
載せたりした。
また、同HPの 『今日の独り言』 の中でも、特にワールド・カップのシーズン
とかに、サッカーの事に触れている。、
これらのコラムや、このシリーズ(1)(2)でも書いた様に、、、
ブラジルなど、特に中南米諸国でのサッカーと云うスポーツは、単なる
スポーツの枠を超えて、彼らの人生、生活の一部であり精神的支柱と
云っても過言ではない。
日本でもJリーグ発足以来、国内でサッカー熱が高まり、今やプロ野球と
その人気を二分する勢い!
私が思うに、プロ野球は現代アメリカがその発祥で、攻守のルールが
完璧に管理された現代スポーツで、それはそれで、日本でもアメリカ並みに
根強い人気を保っている。
一方、サッカーは、野球と比べてもっと単純なルールで、言うなれば
野性的! 別名フット・ボールと云われるとおり、単純に足でボールを
蹴る遊びが古代エジプト、ローマ時代の頃から既にあったらしい、、、?
、となればヨーロッパがその起源となるが、、、?
ただ、野球なんかより遥か大昔からの遊びが、後世スポーツとして
認知された事は確かな様だ。
日本でも平安時代から貴族の中で遊ばれていた“蹴鞠(けまり)” も、
その流れ?
別の言い方をすれば、野球は金持ちのスポーツで、
サッカーは貧乏人のスポーツ、って云うのが、
その歴史的ルーツだろう!?
現在、世界では野球と比較してサッカーが殆ど全世界の国の国民から
愛されているスポーツ!、、、これはルールが簡単、練習が一人でも
出来る、ボールさえ有れば他に道具は不要、遊び場所は何処でも有り、
、、等々がその主な理由の一つだろう。
前置きが長くなったが、以下私が体験したブラジルの事を書くと、、、、、
◎何でも蹴る習性!?
(この画像はネットから無断借用して加工しました。 スミマセン!)
ストリート・チルドレン、と云えば路上生活の子供達、となるが、、、
ブラジルでは都会だろうが、どんな田舎の街だろうが、
よく見かけるのが路上でサッカーに興じる子供達と、中には大人も
混じって一緒に遊んでいる光景。
しかも裸足の子供が多く、その理由は貧しいから! 彼らは生まれて
ヨチヨチ歩きの頃から、すでに何でも蹴って遊ぶことを覚える。
必ずしもボールは必要でなく、って云うより高価なサッカーボールを
買う余裕もないので、その辺りにある紙クズでも何でも丸めて、
それを蹴って遊ぶ。
初めてこの光景を見た時、なんてお行儀が悪い子供や大人達と思ったが、
とにかく大半のブラジル人は子供の頃から、手よりも足で何でも取り扱う
習性がある。それは金持ち、貧乏人に関係なく、、、!
極端な話、母親の胎内にいる頃から、“胎教”のように蹴ることがその
習性! と知り合いのブラジル人が語ったのが印象的だった。
◎ボールに対する愛着心、執着心!
今の我がJリーガーの中で、小学生の頃からサッカーに興じていた
子供達は多いと思うけど、彼らは果たしてボールを四六時中、
手にしていたか?
多分それはないだろう? 家の中、食事中、睡眠中、、、はボールを
触ってはいなかっただろう?
そこがブラジルの子供達とは違う! 彼らは一日中、寝る時もボールを
抱いて寝たり、とにかく練習中だけボールに接するのでなく、練習以外の
時間でも片時もボールを手放さない。
つまり子供の頃からボールに対する愛着心が非常に強い!
これも金持ちの子供、貧乏人の子供に関係なく、、、!
サッカーとは、テクニックや戦術、チ-ム戦略も重要だが、それよりもっと
基本的な初心に帰ると言うか、ボールに対する執着心と、強靭な肉体、
さらにハングリー精神が必要 な訳で、、、サッカーと言うのはそんな
スポーツなんだ。
ブラジルでは、貧困から抜け出すための手っ取り早い方法が、
サッカー選手になる事だ。
特に一流選手になれば、英雄的な栄光を得られ、さらに裕福な生活も
保障される。
だから日夜ブラジル中の子供達が、そんなサッカー・ドリームを
夢見ている。もちろん、その中で一流になるのは、ホンノ一部だけど、!
◎前にも書いたが、サッカーはただのスポーツではない!
ブラジルにとって、サッカーは他のスポーツとはゼンゼン違う。
それは生活の一部なのだ!
またブラジル以外の国でも、特にワールドカップではその勝敗も然ること
ながら、カトリック宗主国の元植民地だった国が旧宗主国を破ったり、
サッカー後進国と云われる国が意外なガンバリを見せたり、、、とか。
その背景にある歴史などを知って、サッカー観戦すると結構面白いし
興味もまたひとしお。
中でも有名選手のヒューマンドラマなどを知ると結構楽しいものだ。
そして、サッカーほどナショナリズムを意識高揚させるスポ-ツ は無い。
それはオリンピック以上!
昔、中米のエルサルバドルとホンジュラスとの間で、サッカ-が原因で
戦争になったり、最近でも何処かの国の大統領が、、、
『たかがスポ-ツ、しかし負けたら寂しい、悔しい!』 と、語ったり、、、
こんな話は日本では考えられないだろう!
安倍さんがそんな事を言う筈もない!^_^)
とにかく、中南米での サッカーの勝敗は国の威信がかかっている のだ。
試合開始前の国歌斉唱で胸に手を当てて歌う外人選手達を見ていると、
何処かの国で、自国の国歌や国旗に反対している非国民ヤカラは、
いったいどんな気持ちでそんなテレビ・シーンを観てるのだろうか?
、、、と、ふと考えた。
多分、それとこれとは違う"、とか云いそう??
(以上HPの「今日の独り言」2002.6.12 記から抜粋。)
◎最後に、とにかく、、、
予選リ-グにせよ、ト-ナメント戦にせよ敗退した場合、これもブラジルに
限らずその国の落胆ぶりは生半可じゃない。
例えば、、、、、
ブラジルではジャッジの不手際や不公平さがあったら、メディアが
それを強烈に非難! そして悪くすれば、そんな審判が試合後、
殺された事件が有ったのも事実なのだ!
また、オウン・ゴールをした選手が、世論の非難に耐え切れず自殺したり、
殺されたりする事件が起こったのも事実。
そして、ブラジルなど南米の選手たちは日本選手と比べてアンフェアで
試合が汚い、なんて日本では云ってるが、、、
彼らは、ジャッジの目を盗んで反則するのも技術の内!
綺麗ごとばかり云ってたら試合に勝てない!、、、と、考えている。
さらに我が日本は試合に負けても 『よく頑張った! 感動をありがとう!』、
な~んて呑気な感謝の声と云うか? お人よしって云うか?
負けっぷりが良いって云うか? これが日本らしさって云うか、、、?
そんな良し悪しは別として、
こんなお上品で節度ある悔しがり様では、何十年経っても絶対に
世界の上位には入れないだろう!
しかしただ、ブラジルと日本を単純に比較しても意味がない!
それぞれの国の事情とサッカーの歴史が各々異なるから、、、
そして、成熟した日本社会で育った現在のサッカー選手たちに、
ブラジルや他の国の選手のような、ハングリー精神を求めても、
そりゃ~無理、ってものだろう!
これはサッカーに限らず、何のスポーツでも同じ事だけど!
◎以下、過去の関連記事。
今日の独り言 (2002.7.3、6.28、6.19、6.12 各記参照 )
日本のサッカ-界
スポーツ嫌いのサッカー評
一億総甘え社会
これでいいのだ!
日本人の“へりくだり”
本田のどこが良いの?
◎ブラジル関連の 我輩はハゲである!(6)~(11) 、もご覧あれ!
◎また、このブログ記事本文の左側に有るINDEX項内、、、
※“ブラジル行”シリーズ” もご覧下さい。
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